予防接種が唯一の予防対策となる「風疹」

風疹の歴史

風疹とは、風疹ウイルスによって感染伝播される病気です。
このウイルスに感染した人が咳などをすると、その分泌物に乗ってウイルスが他人に移ります。
発症すると、顔や手足に赤い発疹が発生したり、後頭部の下や耳から首の後ろにかけてのリンパ節が腫れたりなどの症状が見られる病気です。

風疹の歴史は古く、英語の「rubella」は「赤みがかった」というラテン語に由来します。
昔は猩紅熱や麻疹の一種と考えられていました。
日本でもその歴史は古く、鎌倉時代から室町時代にかけて流行した「三日病」が、現在の風疹と考えられています。
三日病とはインフルエンザのことだという説もありますが、いずれにせよ歴史は古く、江戸時代には「風疹」という語がすでに存在しており、当時の書物でも確認可能です。

現在の日本でも風疹は定期的に流行しており、最近では2004年や2013~2014年に多数の患者が報告されました。
2013~2014年の大流行時には、約14,000人もの患者数が報告されたほどです。
しかし、この流行は2014年8月ごろに収束しています。

風疹の特徴

風疹は、ウイルスに感染した人が咳をした時に、飛沫に乗って他人の体の中にウイルスが入り感染する病気です。
手指によって介されるケースもありますが、多くの場合、飛沫によって感染します。
風疹ウイルスに感染すると、鼻や咽頭部などの粘膜で増殖し、5日から1週間ほどでウイルス血症が起こり、血液に乗ってウイルスが全身を巡ります。

潜伏期間は平均17日(12日~23日)で、症状はそれほど重くありません。
半数近くの人にはっきりとした症状が見られませんが、他人には感染するので注意が必要です。

幼い子どもの場合、赤い発疹が最初に見られる代表的な症状です。
大人になると、それ以前に気分の不快感や微熱、リンパ節腫脹、結膜炎などの症状が表れます。
発生した赤い発疹はかゆみを伴うことが多いですが、3日ほどで消えることが多いです。
そのため、風疹を三日はしかと呼ぶこともあります。

風疹の影響

ワクチンの予防接種がただ一つの予防法ですので、風疹の影響で全世界で幼児のワクチン接種が行われるようになりました。
風疹にかかっても、上記のように症状は軽いことが多いです。
しかし、妊娠早期に感染すると胎児が先天性風疹症候群を発症することがあるため、女性は予防接種が求められています。

先天性風疹症候群とは、妊娠早期の母親が感染し、ウイルスが体を巡り胎盤を通過して胎児に感染するケースです。
日本では男性の予防接種は以前は行われていませんでした。
しかし、男性から女性に感染するリスクが高いことから法改正が行われ、昭和54年4月以降に生まれた男性は、女性と同様、必ず受けることになっています。