600年以上も昔に流行した「ペスト」

歴史の中でも最悪と言われたパンデミック

感染症は昔からあり、時代によってさまざまなウイルスが流行しました。
その中でも特に有名なのが、「ペスト」と呼ばれる病気です。
ペストはカタカナでの呼び方ですが、日本での呼び方で「黒死病」と呼ばれます。
体が黒くなるというわけではありませんが、ペストは日本名でこのような名前が付いています。

ペストが流行したのは600年以上も前のことですが、今なお歴史で語り継がれるほどの大きな影響を持った流行病です。
最初に流行したのは主にヨーロッパで、全人口の約3割ほどの人が亡くなるという異常事態に陥りました。
人数で言うと3000万人にも及び、非常に甚大な影響を与えたのです。

人が亡くなるということは、もちろん経済も大きな打撃を受けるということです。
ペストの流行によって、ヨーロッパの経済は大きく停滞することになりました。

ペストの症状の特徴

ペストの症状は人によって異なりますが、多くの人が発症していたのが強い頭痛です。
頭痛は日常生活でも起きることがありますが、ペストで起きる頭痛は非常に強く、ときには我慢できないような痛みになることもありました。
またその症状は突然起きることもあったため、多くの人が十分に注意する必要があったのです。

また、高熱も大きな特徴のひとつです。
体温は多くの人が36度くらいですが、ペストに感染した人は38度や39度の熱を出してしまうことがありました。
こうした高熱が何日も続けば身体は非常に危険な状況となり、命を落とす原因になることもありました。

日本でも19世紀末に感染が広がった

ペストはヨーロッパで流行が始まった感染症ですが、日本名が付いたように日本国内でも流行しました。
ヨーロッパでは14世紀ごろに流行しましたが、日本で流行ったのは19世紀の末頃です。
日本でも同じように広く流行し、日本人の多くが命を落としたり、重篤な状態に陥ることになりました。

ここで立ち上がったのが、北里柴三郎という人物です。
北里氏は医師であり、世界で一番最初に「ペスト菌」と呼ばれる菌を発見しました。
これがきっかけとなり、北里氏はペストの流行を抑えるために大きく活躍したのです。

北里柴三郎はこの功績から、新千円札に印刷されることになりました。
それほど彼の残した功績は国から見ても大きいものであり、称賛されるべきものだったのです。

ペストは北里氏を始めとした多くの医師が尽力し、日本でも感染が終息しました。
しかし現在でもその被害は広く語り継がれるほどで、今でもテレビ番組などで特集が組まれています。
NHKなどで放送されることもあるため、興味があれば見てみると良いでしょう。
ペストについて深く知ることで、これから流行するかもしれない新たな感染症に備えることができるかもしれません。