歴史から学ぼう「ハンセン病」について

ハンセン病は歴史が長い

感染症は長期に渡って流行することが多いため、その歴史が長くなることもよくあります。
さまざまな種類がある感染症の中でも、特に長い歴史があるのが「ハンセン病」という病気です。

ハンセン病は日本でも古くから知られている感染症で、日本書紀や今昔物語集などでもその名前が出てきます。
これらの書物は名前を聞いたことがあるかもしれませんし、「歴史の教科書に載っていたかも」と思う人もいるでしょう。
これらの書物は歴史上とても古く重要なものとして知られていますが、ハンセン病の記述がその中に出てくるということは驚くべきことです。

日本書紀が完成したのは、720年という説が一般的です。
つまり現在に至るまで、1300年もの年数が経っていることになります。
今昔物語集も平安時代の書物ですから、非常に古い歴史があります。

このようにハンセン病は昔から多くの人が闘病してきた感染症であり、注意すべきものであることがわかります。
普段何気なく生活を送っていると、こうした事実にはなかなか気づきません。
「自分には関係ないだろう」と考えて、忘れてしまうことが多いのです。
しかしハンセン病は日本書紀や今昔物語集の頃から流行していたことを理解すると、「それだけ長く語り継がれる病気なら、しっかり注意しないといけない」という意識をもちやすくなります。

紅斑や白斑などが生じる

ハンセン病の症状として主なものに、「紅斑」が挙げられます。
これは体のさまざまな場所に斑点のような赤みが生じることで、症状がひどい人だとかなり目立つ形で生じることがあります。

また、かゆみが生じることもあります。
かゆみが生じると体中をかきたくなりますが、かいてしまうとさらに症状を悪化させてしまいます。
十分に気をつけて治療に当たる必要があります。

差別の対象になることがあった

ハンセン病が人々に与えた影響として、差別の原因になることがありました。
ハンセン病が流行し始めた当時ははっきりとした治療方法が確立されていなかったため、不治の病と考えられることもありました。
そのため感染を恐れた人がすでに感染している人を軽蔑したり、差別したりすることがあったのです。
ハンセン病を患った人は就職が難しくなったり、その家族も差別の対象となってしまったりと大きなマイナス影響があったのです。

このような差別は、ウイルス自体が悪いのではなく人が自分たち自身で招いたものです。
本来であれば差別などは避けられた可能性がありますが、社会の風潮はハンセン病患者を迫害することを選んでしまいました。

現在も感染症の患者などに対し、自粛警察と呼ばれる形で感染者を差別してしまうようなケースがあります。
感染症が流行してしまった場合、患者やその家族に対し思い込みで迫害に近い行動はしたりせず、正しい知識とモラルをもって行動するようにしましょう。