中央アフリカ諸国で最初に確認された「エボラ出血熱」

エボラ出血熱の歴史

エボラウイルスによって引き起こされる感染症がエボラ出血熱です。
クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱と同じくウイルス性出血熱に含まれる病気ですが、この病気にかかると必ず出血症状を起こすわけではありません。
そのため、今では「エボラ出血熱」という呼び名から、「エボラウイルス病」という呼び方に国際的に変わっています。

エボラ出血熱の歴史を振り返ると、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ウガンダ、スーダン、ガボンなどの中央アフリカ諸国で1970年からしばしば流行しています。
それまでアフリカ大陸内でのみしか発生が確認されていませんでしたが、2014年以降はそれ以外の地域でも発生しています。

また、2018年から現在までアウトブレイクがコンゴ民主共和国で続いており、隣のウガンダでも2019年には患者がいることが確認されました。
それがさらに広がりつつあったため、世界保健機関(WHO)は、「PHEIC」という公衆衛生上、国際的に懸念される緊急事態を宣言しています。
同じ2019年中には、非公式な情報ではありますが、タンザニアのダルエスサラームでこの病気の疑いがある患者が見つかったと発表されました。

エボラ出血熱の特徴

エボラ出血熱は、霊長類やコウモリによって媒介されると考えられています。
しかし、自然界の動物からどんな経路で人間に感染したのかは不明です。
感染経路は不明ですが、この病気に感染した患者の血液や体液、唾液、排泄物などが感染源となり、これらに直接、もしくは濃厚に接触した場合に感染するとされています。
空気感染する心配はありません。

血液を介した時のエボラ出血熱の感染力はすさまじく、針刺し事故で100%感染するほどです。
症状は突発的に表れますが、発症してからの進行は重症のインフルエンザに似ており、発熱、頭痛、喉の痛み、筋肉痛から、嘔吐や下痢、下血や吐血へと進行していきます。
50~90%と高い致死率も特徴です。

治療法がはっきり確立されていないので、エボラ出血熱には対症療法を行うしかありません。
したがって、治療より予防を徹底して心がけることが大切です。

エボラ出血熱の影響

エボラ出血熱によって、アフリカでは何千人もの人たちが苦痛とともに死んでいきました。
感染した人の遺体に触れても感染するため、患者は家族に看取られることなく死んでいき、死んだ後も通常の方法で埋葬できない状態です。
また、この病気で家族を失った子どもたちは、学校や医療サービスなど生きるのに不可欠のサービスを受けられないほど大きな打撃を受けています。

エボラ出血熱が発生した国は、経済的にも大きな影響を受けています。
その対応に何十億ドルもの費用がかかるため、経済全体に大ダメージを受けており、その影響はこの先も長く続くでしょう。