扁桃肥大

扁桃肥大の概要

扁桃肥大とは、喉の奥の扁桃腺が腫れる病気で、風邪と違って発熱や咳などの症状は見られません。
扁桃は気道の周りを囲むように存在しており、それが鼻や口から入ってくる細菌やウイルスをブロックしています。
したがって、まだ抵抗力の低い幼い子どもだと、ブロックした細菌やウイルスの影響で扁桃が肥大するケースは少なくありません。
しかし、あまりに肥大すると、いびきや呼吸障害などの症状を引き起こすこともあります。

なお、扁桃肥大は大きく2種類に分けられます。
鼻の奥のアデノイドが肥大するアデノイド肥大と、のどちんこの両脇の口蓋扁桃が大きくなる口蓋扁桃肥大です。

扁桃肥大だからといって目立つ症状が表れるわけではありません。
特に口蓋扁桃がやや肥大する程度では、自覚症状もほとんどないでしょう。
しかし、口蓋扁桃の場合、過剰に肥大すると気道を狭めることになるため、嚥下や呼吸に障害が表れるほか、いびき、睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群などのリスクが高まります。

アデノイド肥大も同様に、鼻から出入りする空気の通り道が狭くなるため、口呼吸、いびき、睡眠時無呼吸症候群を起こすリスクが高いです。
また、鼻から耳につながっている耳管にも悪影響が及びます。
耳管の通気性が阻害されるため、滲出性中耳炎や溶連菌などにかかりやすくなることに注意が必要です。

扁桃肥大の診断は、口蓋扁桃肥大の場合、目視による視診、手で触る触診によって、その肥大が生理的なものなのか病的なものなのかを判断します。
病的な扁桃肥大と考えられる場合、詳しく調べるために内視鏡やX線による検査を実施します。

アデノイド肥大の診断方法も、基本的には口蓋扁桃肥大と同じく視診と触診です。
内視鏡やX線による検査も必要に応じて行います。
ただし、扁桃腺肥大が扁桃炎に関連していることが疑わしい場合、最近培養検査によって原因細菌の究明が行われることも多いです。

扁桃肥大の治療法や予防法

幼い子どもの場合、症状がない、または軽度なら、扁桃肥大になっても自然治癒を待つ場合が多いです。
一方、発熱、または呼吸や睡眠に障害がある場合は、薬による保存的治療か手術による外科的治療を行います。
風邪などの影響で一時的に扁桃が肥大しているだけなら、消炎剤や抗生剤による保存的治療が一般的です。
それでは症状が軽減できない、また、すでに日常生活に支障をきたしているケースでは、肥大した扁桃を摘出する手術を行います。

扁桃肥大は幼い子どもにつきものの病気で、これといった予防法は特にありません。
ただ、風邪などの感染症や扁桃炎の予防によって病的な扁桃肥大を防ぐことはできます。
それには、食事や睡眠、うがいや手洗いなどの生活習慣を整えることが大切です。