疥癬(かいせん)

ダニによって発生する疥癬とは?

疥癬とは、ヒセンダニというダニが皮膚に寄生して発症する皮膚の病気です。
とても小さな寄生虫で、皮膚の表面に穴を掘って、そこで卵を産んで繁殖します。
人と密着する直接感染の他、衣類や寝具などを媒介にして感染的に人から人へと広がるため、老人介護施設などの集団生活で感染しやすいといわれています。
症状としては激しいかゆみがあり、皮膚に赤いブツブツができたり、角質化して白くなるなどの変化がみられます。

疥癬は、通常疥癬と角化型疥癬の2種類に分類できます。
通常疥癬は、数十匹程度のヒセンダニに感染するもので、潜伏期間は1~2か月、感染力はそれほど強くはありません。
感染経路としては、長い時間人の肌に触れる直接感染によって起こりますが、少し触れるくらいでは感染しません。
また症例は少ないのですが、人が使った寝具を使った場合に感染する場合もあります。

これに対して角化型疥癬は、100万~200万匹もの大量のヒセンダニによって感染するため、感染力が強く潜伏期間4~5日と短めです。
症状も重症化しやすいので、注意が必要です。
人の肌に短時間触れただけでも感染しますし、服や寝具などの布を媒介にしても感染します。
感染者から剥がれ落ちた皮膚に触れただけでも感染するので、洗濯や掃除をしっかりと行う必要があります。

疥癬は薬で治療

治療では、ヒセンダニを殺傷する薬を用います。
患部に塗り薬を塗布したり、内服薬を服用したりするほか、かゆみ止めの薬も処方されます。
適切な治療を受けた場合、通常型疥癬は治療を受けて1か月程度、角化型疥癬は約2か月ほどで快癒します。

疥癬の予防法は体や寝具を清潔に保つこと

疥癬はダニを介して人から人へと発症する感染症ですので、感染症対策をしっかりと行うことが有効な予防法といえるでしょう。
通常疥癬の予防法としては、こまめに手洗いを行い、毎日入浴をして体を清潔に保つことです。
特に不特定多数の人が集まる公共の場や人混みに出掛けた後は、石けんでしっかりと手を洗いましょう。

衣服や寝具、タオルなどの共有も避けましょう。
直接感染を避けるために、感染した人の肌に接触するのも避けてください。
特に感染力が強い角化型疥癬の場合は、感染対策をしっかりと行いましょう。
服や衣類は毎日50度以上に熱いお湯に10分以上つけてから洗濯をする、マットレスなどの寝具に掃除機をかけるなどの感染予防対策が必要です。

感染拡大を防ぐために、感染の早期発見・治療も重要です。
少しでも早く発見することが、家族など周囲の人への感染予防につながるからです。
激しいかゆみ、赤いブツブツができるなど、疥癬の症状が出たら皮膚科を受診しましょう。