川崎病

川崎病の概要

川崎病とは、乳児や4歳以下の幼児に多く見られる血管に炎症が起きる病気です。
最初に報告されたのは1967年と古いですが、原因はよくわかっていません。
ちなみに、「川崎病」という名前の由来は、最初にこの病気を報告した医師の川崎富作氏に由来しています。

川崎病の特徴は、血管の炎症によって起きる全身の症状で、高熱が出て、目が充血します。
また、唇が真っ赤になって舌にはイチゴのようなぶつぶつができるのも特徴です。
そのほか、首のリンパ節や手足の腫れ、全身の赤い発疹などもあります。
川崎病と診断されるのは、これらの症状のうち5つ以上の症状が見られる時です。

川崎病の原因はよくわかっていませんが、ウイルスや細菌の感染ではないかと考えられています。
また、環境物質の刺激が原因ではないかとの説も濃厚です。
ウイルスや細菌の感染の場合、免疫の過剰反応で炎症が全身の血管に起こるのではないかとも考えられています。
いずれにせよ、この病気は人種的には東アジア系によく見られるのが特徴です。

川崎病で怖いのは、心臓の冠動脈に瘤ができることです。
川崎病にかかった子どもの3%に血管の瘤ができますが、冠動脈に瘤ができると、成長してから血栓で血管が詰まったりして心筋梗塞や狭心症になるリスクが高くなります。
また、患者全体ではわずか0.1%程度ですが、まれに8mm以上の大きな冠動脈瘤ができることに注意です。
こうなると、心筋梗塞の予防のために生涯にわたって薬を飲み続けることになります。

川崎病の治療法や予防法

川崎病にかかった時は、とにかく冠動脈瘤ができるのを防ぐ必要があります。
そのため、血管の炎症を抑えるために熱をできるだけ早く下げることが大切です。

病院では、一般的に免疫グロブリンという血液製剤をまず投与します。
次に、血液が固まらないようにアスピリンの内服です。
この処置をすることで、ほとんどの患者はだいたい2日以内に熱が下がります。
熱が下がると冠動脈瘤ができる心配はまずありません。

なお、免疫グロブリンに副作用はほぼありませんが、無菌性髄膜炎を稀に引き起こすことがあるので注意です。
免疫グロブリンの治療後には弱毒性ワクチンは摂取しないようにします。
ただし、症例によって受けるべきワクチンが違うため、かかりつけの医師に相談するべきです。

上記の治療法でも熱が下がらない時には、追加の治療を行います。
ただし、どの治療法に高い効果があるかははっきりわかっていません。
一般的に、免疫グロブリンの再投与や、シクロスポリンやインフリキシマブの投与、また、血漿交換が行われます。

川崎病は原因不明の病気であるため、予防法はありません。
ただ、家族の誰かがかかった場合、家族内で発症することはほぼなく、伝染する心配もありません。
再発の心配もまずないでしょう。