摂食障害

摂食障害の概要

摂食障害とは、食べ方、食事量など食事関連の行動に異常が見られ、体型や体重などの考え方など、心身ともに影響がある状態をまとめた呼び方です。
具体的な症状は患者ごとに違いますが、自分で食べる量をコントロールできなくなり、食べすぎたり、逆に必要量も食べられなかったり、食べたものを自分で吐き出してしまったりなどといった症状があります。

実際は症状によって細かく分類される摂食障害ですが、10~20代の女性に多く見られるのが特徴です。
しかし、年齢や性別に関係なく、誰がかかってもおかしくない病気とも言われています。
国内の病院に摂食障害で受診する人は年間およそ21万人と言われていますが、受診していない人、途中で治療をやめた人を合わせると実際の人数は推定できないほどです。

摂食障害の具体的な症状には、過食性障害、神経性過食症、神経性やせ症などがあります。
摂食障害で怖いのは、患者の心身の健康と発達に大きな影響を与え、それが日常生活や人間関係、社会生活にも深刻な悪影響を及ぼすことです。
摂食障害を発端に、別の精神疾患を発症することもあります。
周囲の人が摂食障害の兆候に気づいた時は、なるべく早く専門の医師等に相談するべきです。

摂食障害の治療法や予防法

摂食障害になっても、回復可能です。
ただ、心身両面に及ぶ病気なので、治療でも心身両面の問題を扱う必要があります。
したがって、具体的な治療法は患者個人によって大きく違うのが特徴です。

治療のプロセスは一般的に以下のとおりです。
まず、治療者と患者との協力関係が必須なので、信頼関係を築くところからスタートします。
患者の信頼が得られたら、患者に摂食障害とはどんな病気なのか、また治療するにはどうすればよいのかといったことを説明します。
患者本人が回復したいと思うための動機づけも大切です。

次に、実際にどんな症状が出ているのか、摂食行動を始め、患者の行動や心理のモニタリングです。
身体管理を行うとともに、身体に合併症がある場合は治療を施します。
同時に食事指導や再栄養療法を行い、正常な食習慣に戻るように導きつつ、心理療法の実施です。
別の精神疾患がある時は、そちらの治療も行います。

一般的には以上ですが、薬物療法も補助的に実施されることがあります。
また、著しく体重が減少している場合、自力で食事を取れない場合、精神的に極めて不安定な場合など、入院を必要とするケースもあるでしょう。

摂食障害を予防するには、「やせている方がよい」という価値観を変えることでしょう。
女性の拒食症は、やせ願望による極度なダイエットに起因することが多いからです。
極端にやせたタレントやモデルを起用しないことなど、女性の極端なやせ志向を助長しないための予防法が考えられます。