角膜潰瘍

角膜潰瘍の概要

角膜表面を覆う上皮が剥がれる状態を角膜糜爛(びらん)と呼びます。
これと違って、角膜表面だけでなく、角膜の奥まで薄くなったり濁ったりしている状態が角膜潰瘍です。
角膜糜爛より重症で、治療後にも視力に障害が残るケースがあります。
角膜関連の病気のなかでも特に重症な病気と言ってよいでしょう。
もし角膜潰瘍と見られる症状を感じた場合、早急な対処が必要です。

角膜は体のあらゆるなかで知覚が最も敏感な場所と言われています。
三叉神経という神経が分布しているからです。
したがって、炎症が角膜に起こる場合、激しい痛みを目に感じます。
それに伴い涙が大量に出て、また、白目も真っ赤に充血します。
なおも炎症が続く場合、角膜に濁りが生じ、それが潰瘍になるというのが角膜潰瘍の概要です。

潰瘍がさらに深くなると、角膜に穴が開きます。
この状態を角膜穿孔(せんこう)と言いますが、失明のリスクの高い危険な状態です。
角膜潰瘍の原因は、おもに外傷性、感染性、非感染性の3つに分かれます。

外傷性の角膜潰瘍は、何かで目を突いて角膜に傷がついたり、コンタクトレンズを正しく装用していなかったために角膜に傷がついたりするのが原因です。
傷からブドウ球菌や緑膿菌、連鎖球菌などに感染して潰瘍が起こります。
感染性の角膜潰瘍は、自然界に存在するさまざまな真菌に感染したことが原因です。
草木や動物の毛などが目に入ると、フサリウムやアスペルギルスなどに感染することがあります。

非感染性の角膜潰瘍とは、角膜辺縁潰瘍と蚕食性角膜潰瘍のことです。
前者はまぶたの縁にあるブドウ球菌に反応して起こるアレルギー反応、後者はステロイド薬の仕様が原因とされています。

角膜潰瘍の治療法や予防法

外傷性の角膜潰瘍の場合、角膜の擦過により原因である細菌を究明し、それに有効な抗生物質を投与します。
一般的には点眼ですが、症状が重い場合は抗生物質の内服も同時に行います。
感染性の角膜潰瘍の場合、抗真菌薬の内服と点眼です。
ただし、内服は6か月の長期にわたるため、事前にアレルギーをチェックしたり、投薬後は肝臓や腎臓の機能に異常がないかチェックしたりなど、定期的な観察を伴います。

角膜辺縁潰瘍の治療は、ステロイド薬や抗生物質の点眼です。
蚕食性角膜潰瘍の場合、まず原因菌を究明し、それに有効な抗生物質を点眼します。
症状によっては内服薬も併用します。

コンタクトレンズを使っている人なら、角膜潰瘍は正しくコンタクトレンズを装用することで予防できるでしょう。
また、コンタクトレンズを着けていておかしいと感じたことがあれば、すぐに使用をやめ医師に相談してください。
感染性の場合、体質によっては治療しても再発しやすい場合があるので、完全な予防は難しいです。
ただ、角膜潰瘍はしっかりした治療法が確立されています。
異常を感じた時はすぐに医師の診察を受けることが大切です。