水質汚染がもたらす悪影響

命を繋ぐ水が汚染されたら…

私たちは、水がなくては生きていけません。
命を繋ぐ水は健康と大きく関わっており、汚染された水を飲むことで健康を害する事例は現在でも世界各地で起こっています。
日本でも高度経済成長期には工場排水による汚染が著しく、イタイイタイ病や水俣病などの公害病が発生しました。
多くの人々が被害に遭い、今なお健康状態が改善せず苦しみ続けている人がいます。

このような被害を教訓に、日本では排水処理基準を高め、有効な処理技術を開発するなどの努力が行われ、水質汚染による病気は激減しました。
上下水道設備も充実しており、飲み水に困ることはありません。

しかし、世界の国々や地域の中には、汚染された水だとわかっていても、生き延びるために飲まざるを得ない状況に置かれている人々がたくさんいます。
これによって多くの赤ちゃん子どもが死亡したり、大人であっても病気になる人が多いのです。
発展途上国だけでなく先進国でも、水質の悪化、水源不足、水道インフラの未整備などの理由で、水道水を飲むことができない国々もたくさんあります。

水質汚染による健康被害

水質汚染による健康被害については、さまざまなケースが報告されています。
水質汚染と健康被害の関係については、汚染された水を直接飲むことによる被害と、水中に住む生物や植物を食べることによる間接的な被害の2つの大別されます。
浄化されていない水には寄生虫も多く、水といっしょに寄生虫も体内に入ります。
これによってさまざまな病気や感染症が発生するのです。

これらの汚染された水を摂取することでよくみられる症状が、下痢や嘔吐などの消化器のトラブルです。
特に抵抗力が弱い赤ちゃんや小さな子どもは、汚染水により死亡する事例が多いです。

また、工場排水などで汚染された水が川や海に流れ込むと、そこに住む生物が汚染物質をため込みます。
汚染物質が蓄積した魚介類などを人が食べると、高濃度の汚染物資を体に取り込むことになります。
その結果、抵抗力の強い大人であっても、がんや肝臓病、神経系疾患などを発症することがあり、死亡へとつながるケースもめずらしくありません。

私たちができる水質汚染対策とは?

水質汚染の主な理由として、上下水道インフラの未整備、工場排水、生活汚水などが挙げられます。
インフラや工場排水に関しては国や企業などの取り組みが求められますが、生活排水に関しては私たちの努力による改善も不可欠です。

まず、水を流しっぱなしにするなどの無駄遣いはやめましょう。
そして、汚れた水を水道に流さないことも重要です。
料理で使った油や汁はできるかぎり水に流さないこと、そして洗剤やシャンプーなどは適量を使ってください。
生活排水によって汚れた水を浄化するためには、大量の水が必要だからです。
毎日のちょっとした配慮で海や川に生活排水が流れるのを防ぐことができ、私たちの安全な暮らしの確保へとつながります。