三次喫煙のリスクについて

喫煙被害には二次喫煙と三次喫煙がある

タバコを吸う本人だけでなく、その煙を吸った人にも害を及ぼす受動喫煙は、多くの人に知られるようになりました。
この受動喫煙のことを二次喫煙ともいうのですが、最近話題になっているのが三次喫煙の悪影響です。

三次喫煙とは周囲にタバコの煙がなくても、部屋の壁やカーテン、床、衣服などに付着したタバコの有害物質を吸い込むことをいいます。

タバコから排出される成分は、喫煙をした人がその場を立ち去っても室内に残ります。
また、喫煙する人の衣服にも、煙とともにタバコの有害物質が付着します。
さらに喫煙した後30分程度は、その人の息からも有害物質が吐き出されるといわれています。

タバコを吸わない人にとって、喫煙室や喫煙した後の部屋、車内、喫煙している人の服に残る匂いは非常に不快です。
そして不快なだけでなく、人体に悪影響を及ぼすリスクがあるのではないかと考えられています。

三次喫煙が及ぼすリスクとは?

では、三次喫煙ではどのような悪影響があるのでしょうか。
我が国では、三次喫煙のリスクに関する実態調査の詳しい情報はまだ蓄積されていないのが現状です。

しかし、2010年に発表されたローレンス・バークレー国立研究所の研究結果では、喫煙者の車内に残留したタバコのニコチンが空気中の亜硝酸に反応し、発ガン性物質であるニトロソアミンが生成されたと報告されています。

三次喫煙の被害で特に心配なのが、妊娠中の女性や赤ちゃんへの悪影響です。
妊娠中の女性が三次喫煙を行うと、生まれてくる赤ちゃんの呼吸器や脳などにダメージを及ぼすリスクがあるといわれています。
また、赤ちゃんは興味のあるものを何でも口に入れてしまうので、タバコの有害物質が付着した衣服やカーテンなどを口に入れる可能性が高まります。

また近年の研究によると、空気中の物質と反応して発生する発がん性物質などの有害物質は、換気などでは除去されないことがわかってきました。
長期間にわたって有害な物質が残留するので、受動喫煙よりも危険だとする意見も出ています。

三次喫煙のリスクを減らす方法は、全面禁煙などの方策を取るしかないと考えられ、十分な対応策はないのが現状です。

このため外出時に飲食店などを利用する際には、全面禁煙のお店や分煙室のあるお店を選ぶなど、喫煙者が入室できない場所を選択することが最も重要な対策といえるでしょう。

副流煙には敏感な人でも、三次喫煙に関してはそれほど注意を払わない人も多いのではないでしょうか。
しかし、発がん物質を発生する危険がある三次喫煙にも十分に警戒する必要がありそうです。
特に妊婦さんやお子さんがいるご家庭では、両親など家族全員が禁煙するなどの協力が重要といえるでしょう。