残留農薬が及ぼす健康被害とは?

食の安全が気になる!残留農薬とは?

野菜や果物の栽培で使用される農薬が、出荷後も残っていることを残留農薬といいます。
残留農薬と聞いて、散布された農薬が野菜や果物に蓄積してそれが濃くなっていく状態をイメージされる方も多いかもしれません。

しかし、実際にはそうではありません。
確かに野菜や果物に農薬が残るケースはあるのですが、これまでに使用された農薬が残るわけではなく、大半がわずかな量しかのこっていません。
というのも農薬は雨や水で流れ落ちますし、時間が経つと分解されるように作られています。

大切なのは、一日に摂取する残留基準を超えないことです。
政府は人々が安全な食べ物を口にできるように、作物に使用される農薬はもちろんのこと、家畜用の飼料に使われる添加物や、動物に使われる医薬品について、残留基準を設けています。
残留基準とは、人が体内に摂取しても安全とされている量の基準のことで、食品ごとに基準が異なります。

残留農薬を一生涯に渡り、毎日摂取しても健康に問題がないとされる一日当たりの摂取許容量のことをADI(Acceptable Daily Intake)といいます。
残留農薬は作物ごとに異なりますが、ADIを100とすると水や土などから摂取する農薬を20%と考え、残りの80%を野菜や果物と行った農作物、そして魚介類、肉などの食品から摂取する農薬と想定して計算されています。
いいかえると、一日に食べる食べ物それぞれの残留農薬をすべて加算しても、安全とされるレベルのADI80%以上にならないように基準が設けられているわけです。

それでもやっぱり体への影響が気になる

農薬を体内に摂取すると健康に影響を及ぼすのではないか?がんになるのではないか?と心配される方も多いでしょう。
たしかに、農薬の過剰摂取は健康に害を及ぼします。

しかし農薬の開発技術は非常に進化しており、昔と違って安全性を追求した農薬が開発されています。
現在の農薬は少ない量で効果があり、薬害を起こしにくい低毒性のものが一般的です。
さらに、害虫など取り除きたい生物のみに働きかけ、人間などそれいがいの生物には影響を及ぼさない選択製性の農薬が使われています。

発がん性に関しても、がん死亡要因に関する研究では農薬の発がん率は1%未満となっています。
喫煙、そして成人期の食事と肥満がそれぞれ31%の発がん率でることに比べると、非常に低い数値といえます。

残留農薬が気になる方は、野菜や果物を流水でしっかり洗うことをおすすめします。
また、野菜をさっと茹でるだけでも農薬のほとんどを除去することができます。

バナナやみかんなど皮付きのものは、皮を剥いて食べれば残留農薬の心配はほとんどありませんし、キャベツなど葉物の場合は一番外側の葉を取り除くだけでも効果があります。