暮らしに潜むカビ毒の基礎知識

体に悪い影響を及ぼすかび毒

高温多湿の日本では、かびは非常に身近な生き物です。
かびとは真菌類に分類される生き物で、きのこや酵母の仲間です。
かびにはさまざまな種類があり、何と4万種類ものかびがあるといわれています。
かびは胞子という種のようなものから育ち、空気中にただよっています。
しかし食べ物など栄養となるものをみつけると、そこに住み着いてどんどん育っていきます。

これらのカビを利用した食べ物も、世界中に存在しています。
カマンベールチーズなどカビのついたチーズ、お酒、醤油、みそなどの発酵食などはかびがないと美味しくなりません。
また、抗生物質のように薬として利用されているカビもあります。

しかしその一方で、人や動物など生き物に害をもたらすかびもあり、このようなかびのことを、かび毒と呼んでいます。

かび毒が与える人への影響は?

かび毒は人や動物の胃腸、腎臓、肝臓といった内臓に害を与え、最悪の場合は死に至ることもあります。
また、発がん性のあるものや、胎児の奇形を引き起こすものもあります。

このように怖いかび毒ですが、農作物の種類や、カビが発生する時期、発生する場所などによって種類が異なり、3000種類もあると報告されています。

例えば麦が育つときに長雨が続くと、デオキシニバレノール、ニバレノールなどのかび毒が発生しやすくなります。
また、りんごの収穫時や、収穫したりんごを貯蔵するときに発生しやすいのがパツリンで、りんごジュースなどの加工品も汚染される場合がります。

かび毒を防ぐには?

かび毒に汚染された食物は、見た目で判断できるものもありますが、肉眼では見えないものも多くありません。
では、かび毒を摂取しないようにするためには、どうすればよいのでしょうか?

かび毒は細菌類などと異なり、熱に強いという特性があります。
かび自体は加熱すると死んでしまうのですが、加熱によっても毒が減少しないケースが多いのです。
実験によると、ゆでて加熱しても50~80%のかび毒が残留しており、油で炒めたりしてもかび毒がほとんど減らないことがわかっています。
さらに、かび毒に汚染されたエサを食べた家畜にもかび毒は広がります。

ナッツの虫食いなど、見た目がおかしいなと思われる食品を食べるのを控えるなど、消費者の方でも気をつけるべきですが、大本の対策といえば、かび毒に汚染されていない食品を購入するしかありません。

しかし消費者には、その食品がかび毒に汚染されているかどうかを判断するすべがほとんどないのが現状です。
このため政府や自治体がかび毒対策を行っており、家畜が食べるエサのかび毒汚染を防ぐ対策を行ったり、食品のかび毒検査の強化に取り組むなど安全対策が採られています。
かび毒に関して、政府や自治体の取り組みについて調べてみてはいかがでしょうか。