日本のヒ素汚染

ヒ素汚染があったエリアはどこ?

ヒ素は、毒物の中でも激しい健康被害をもたらすものとして知られています。
毒薬としても用いられていた過去があり、嘔吐や出血、激痛などに苦しんで死亡に至るとされています。

少しずつ飲ませることで原因不明のまま死んでいく、という非常に恐ろしい健康被害を持つのがヒ素です。
ヒ素は地下水などに含まれていることがあり、特に東南アジアのエリアではヒ素中毒により長い潜伏期間をかけて肺がんや肝臓がん、気管支炎、皮膚がんなどの病気で亡くなる人が後を絶ちません。

では、日本ではどのようなエリアでヒ素汚染があったのでしょうか?
まず一つ目によく知られているのは、宮崎県の土呂久という集落です。
1920年から1962年の間に鉱山が操業され、大気や水、土壌などが汚染されました。
激しい咳や皮膚の黒ずみ、肝臓の腫れなどの症状が村人におき、1973年に公害病であるヒ素中毒症として環境省に公害認定されました。

また、島根県笹々谷の鉱山周辺でもヒ素中毒患者が出ています。
1973年に環境省で被害が認められ、2005年までに21人が被害者として認定されました。

新潟県中条と言われるエリアでも、薬品の製造工場から地下水汚染が広がりヒ素中毒を訴える住民が現れました。
循環器障害やがんなど潜伏期間を経てから重症の病気を発症する患者も確認されています。

ヒ素汚染の対策をするには?

ヒ素汚染の対策には、どのようなことが必要なのでしょうか?
まず注意したいのは、飲料水がヒ素に汚染されていないかをしっかりと調査することです。

日本国内で飲料水がヒ素汚染されているリスクはかなり低いのですが、東南アジアの他の国ではまだまだそのような危険性が高いエリアが多くあります。
そこで大切なのが、水質をきちんと事前に検査することです。
廣中式フィールドキットと呼ばれるキットでは、井戸水が10ccあればヒ素汚染されているかどうかチェックすることができます。
また、井戸を掘るときに深いエリアから水源をとることも大切です。

安全な水が必要となっている場合には井戸を掘る必要がありますが、ヒ素が溶け出すのは浅めの地層です。
それよりも深い地層からはヒ素が溶け出すことはないとされています。

そのため、深さ80メートルよりも深い部分、200メートルほどの地点から深井戸を設置することにより、安全な水を供給しヒ素汚染を予防することができます。
ヒ素汚染した水を飲むと、すぐに健康被害が出なくても、長い潜伏期間を経て長期的な健康被害が及ぶ可能性があります。

ヒ素汚染が過去にあったかどうかに関係なく、対策をしっかりと行うことは健康にとって非常に重要なポイントとなります。