アスベストによる健康被害とは

アスベストのメカニズム

公害の一つとして「アスベスト」という言葉を聞いたことがあっても、実際にどのような健康障害のメカニズムがあるのかまでは知らないという方は少なくありません。

アスベストは、非常に細かい繊維からなっている物質です。
なんと人の髪の毛の直径よりもかなり細く、肉眼では全く見ることができないほどかなり細い繊維から作られています。
空気中に飛散するとふわふわと浮遊し、呼吸を通して人の体の中に入っていくということが分かっています。

体の中に吸入されると、人の肺胞という所に付着する特徴も持っています。
このアスベストの一部は体の中で異物として認知され、痰の中で混ざって体の中に放出されますが一部は肺の中に長く留まります。
アスベストは丈夫で変形しにくいという特徴があるため、体の中に止まると肺がんや悪性中皮腫などの病気の原因となるのです。

アスベストは、細くなればなるほど有害性が高く体の中に長く滞留すると考えられています。
アスベストの種類によって発がん性は異なりますが、クロシドライトやアモサイトは特に発がん性の高い種類です。
どの程度アスベストを吸入すれば中皮腫を引き起こしたり発がんするかということは明らかではないのですが、肺の組織が傷つけられ続け繊維化が起きるため、細胞がガン化するという相関関係が認められています。

アスベスト健康被害の実態

実は、アスベストによる健康被害とも言われている中皮腫の患者さんは未だに増え続けているのが現実です。
1960年代に空気中のアスベストは最も増加しましたが、2017年においても中皮腫で亡くなった方は1500名以上もいます。
なんと1995年と比べると3倍以上に膨れ上がっています。
少しずつ時間をかけて、アスベストが健康に被害を与えることがわかります。
また、アスベストによる被害を業種別に見てみると、製造業と建設業の方が多く労災の支給数も増加しています。

アスベストに関係した疾患とは?

アスベストに関係した病気、アスベスト健康被害救済制度の対象となっている疾患は、石綿肺、中皮腫、アスベストが原因による肺がん、またびまん性胸膜です。
深刻な呼吸機能障害を伴っている場合に、びまん性胸膜肥厚でも救済の対象となります。

中皮腫と石綿肺は、アスベストの健康被害でも特異的で関連性がつきやすいのが特徴となっています。
肺がんは、気管支や肺胞を覆っている部分に発生する悪性の癌腫瘍です。
喫煙など、アスベスト以外の多くの原因でも発症しやすいことから、関連性をつけるのがやや難しい病気の一つとされています。
アスベストを吸入してから、肺がんを発症するまでの潜伏期間は40年程度と、やや長めなのも特徴的です。