放射線が引き起こす健康被害

健康被害を引き起こす被ばく量とは?

放射線を浴びすぎると体に良くないということは知られていても、どのくらいの量から健康被害が起きるのかはあまり知られていません。
妊婦さんが妊娠中にレントゲンなどを取ることができないのも、被ばくすることからくる健康への影響が原因です。
放射線が少量であれば、遺伝子そのものが持っている修復機能で体を回復させることができます。
しかし一度に許容量以上の放射線を浴びることで、体に様々な症状が現れるとされています。

被ばく量が500ミリシーベルトを超えることで、白血球が減少します。
自覚症状が現れるのは1000ミリシーベルト以上です。
骨髄障害で死亡してしまう被曝量の目安は、4000ミリシーベルト以上を全身に浴びることです。

遺伝子的な影響、発がんのリスクなどは、被爆量が少なくても発生する可能性があり0になることは決してありません。
100ミリシーベルト以下の被ばくであれば、その他のことが原因で発生するがんとの区別がほとんどできないとも言われています。

被爆量を下げるために放射線を扱う仕事をしている人は、1年間に50ミリシーベルト以下が限度と法律で定められています。
健康診断などで必要となる胸のX線や胃のX線検査などでは1回あたり0.1ミリシーベルトから10ミリシーベルトと健康被害の無い範囲ですので、それほど過剰に心配する必要はありません。

被ばく量と発がんにはどんな関連がある?

放射線を浴びすぎると発がん率が高まると言われていますが。被爆する量と発がんにはどのような関係があるのでしょうか?
よく知られているのは、原子爆弾による大量の放射線被爆で亡くなった方が多いということです。

1000ミリシーベルトを被曝した人全体のうち、10%の人が被ばくが原因の癌で死亡しています。
同じ1000ミリシーベルトでも、徐々に被曝した場合では一度に受ける放射線が多い場合と比べると癌の死亡率はかなり下がり、5パーセントとなっているんです。

100ミリシーベルトになると癌による死亡率は0.5%の増加となり、放射線量と癌死亡のリスクがはっきりとは確認されていません。
また、被爆している人が子供を持った場合の遺伝的なリスクも確認されていません。

まとめると、100ミリシーベルトでは一生涯あたり0.5%の増加、1000ミリシーベルトあたり5%の増加でがんの原因となります。
放射線は、どんなに少なくても人の体に影響を与える可能性はゼロにはならないことをしっかりと押さえておきましょう。

ただ、この目安となる放射線限度はゆとりをもって定められているため、これを超えたからといってただちに癌になるというものではありません。