食中毒の原因と症状
食中毒は、食べ物を通じて細菌やウイルスが体内に入ることで起こる症状です。
食中毒を招く代表的な細菌やウイルスとして、次のようなものがよく知られています。
1つ目はO157やO111などの腸管出血性大腸菌で、家畜の腸の中にいる細菌で食肉を介して感染します。
潜伏期間は4日~8日で、激しい腹痛から始まり、下痢または出血を伴う下痢を引き起こします。
重症化すると死亡することもあるので、十分な注意が必要です。
2つ目はカンピロバクターで、これは家畜やペット、野生動物の腸内に棲息する細菌です。
腹痛や下痢、嘔吐、頭痛などが一般的な症状ですが、感染してから数週間後に手足や顔面の麻痺、呼吸困難などの症状を持つ「ギラン・バレー症候群」を発症する事例も報告されています。
潜伏期間は1日~7日と長く、発症から1週間ほどで治癒します。
しかし乳幼児やお年寄り、抵抗力が弱っている人は重症化しやすいので注意しましょう。
3つ目は、サルモネラ属の細菌です。
家畜やペット、ネズミなどの動物の腸内にいる細菌ですが、河川や下水などにも広く分布しています。
潜伏期間は半日~2日、平均で12時間後とされており、強い腹痛や下痢、嘔吐のほか、発熱などが主な症状です。
4つ目はセレウス菌という土壌細菌と呼ばれるもので、土や水、ほこりなど自然界のどこにでも発生します。
また、農畜や魚介類などにも分布しています。
症状は、菌が吐き出す毒素によって、「下痢型」と「嘔吐型」の2つに分かれます。
下痢型の潜伏期間は8時間から16時間程度、嘔吐型は1~5時間で、日本では嘔吐型が多くみられます。
5つ目は黄色ブドウ球菌で、こちらも自然界全般に棲息しており、皮膚や喉など人体にも存在しています。
調理をする人の手の傷から感染することが多く、潜伏期間は3時間程度と短時間で発症し、嘔吐や下痢が主な症状です。
このほかにも、さまざまな細菌やウイルスが食中毒の原因になるとが知られています。
食中毒予防の方法は菌を付けない・増やさない・取り除くこと
予防対策としては、食中毒を引き起こす細菌やウイルスを食品に付けないこと、食品に付いた場合は増殖を防ぐと同時に取り除くことです。
このためには、調理前に手をよく洗うなどして外から調理場内に細菌やウイルスを持ち込まないことです。
調理器具や調理場を常に清潔に保つことも大切です。
しかし、いくら気をつけていても調理場の中に入り込むことがあります。
このような場合でも、細菌やウイルスが増殖しない環境を作っておくことも重要です。
食品は冷蔵庫で保存して早めに食べる、加熱処理をする、布巾やまな板などの調理器具を定期的に消毒するなどの対策を行いましょう。